Facebookのコメントで間違った認識をお持ちの方がいらっしゃいました。文章で伝えようとすると長くなりますのでFacebookには載らないためブログにて書かせていただきます、
『実印は凹印は大和古印だろうが16世紀のシルバーシールだろうが不可だが凸印なら三文判でもOK、全く日本の印鑑制度くらいくだらないものはない。徳川時代の制度をそのまま踏襲しているのですからね(笑)。閣僚の花押など好きなようにすれば宜しいが、自署で充分。認印が自由なら、それと同様で構わないと思いますね。因みに私は封緘や認めに18世紀のフォブシールと江戸の糸印を用いています。』
まず印章という中で厳密にいうと実印と認印は全く異なります。認印は自分のサイン代わりとなりますのでどんなものでも(芋版などでも)使用可能となります。これはどこにも登録していない為に使用中に枠が欠けようが、書体や印影の大きさが変わろうがなんら問題ありません。
ですが、実印は役所に登録したものの総称です。後に登録したモノと差異が無いか確認するために原則欠けづらい印材を用いたものでしか登録できません。
また市町村毎に【印鑑条例】というものが定まっており、場所場所で登録可能なものが決まっており探せば凹印でも可能な市町村もあるかもしれませんが、凹印は枠の太さが風化で変化しやすかったりするため採用される場所はほとんどないのが現状です。
また印章自体は金印が贈られた239年から日本に根づいているもので、制度は庶民が姓を名告れるようになり実印が用いられるようになった明治以降に定まったものであり、徳川時代は商人など特定の職に就いている方以外は使用することは出来ませんでしたので今の制度とは違いがあります。
ですので、元々認印と実印は成り立ちや利用目的が違うため片方がOKなら、もう片方もOKというトンデモ理論は通じるはずがありません。
更に日本の印鑑制度は元々漢字を利用している事が大きいですね。英字等は曲線も多く真似する事が難しい反面、漢字は直線が多いため筆跡で真似ることが英字に比べて容易です。
ですので印章にしてちゃんと朱肉を用いて捺印することで、筆跡による不正を防ぎ偽装を防止するのに一役買っているため、とても素晴らしい制度だと思います。
また最近はなんでもクイックに行うことが是とされて来てますが、アナログ且つ、ひと手間加えることで色んな不正を防ぐ事が出来るので、これからも印章文化は続いていって欲しいです。
最後に蝋封などに糸印を用いているとのことですが、なかなか良いものをお使いになられているようですね。これからも認印に関してはそういったものを大事に使用されていって下さい。